Q GDPは信用できるか A無料のデジタルサービス増加で経済実態との乖離が進む=早川英男
経済活動の実態を示す指標として、今日、国内総生産(GDP)が頻繁に使われる。GDPを測る本来の目的は、経済厚生、簡単に言えば、その社会に住む人々の幸福度を測るためにある。
GDPとは、金銭的取引の価格をすべて足した数値だ。ここで初歩的な経済学で用いられる需要曲線と供給曲線を見てみよう(図1)。両曲線が交わった点が、消費者と財・サービスの提供者双方が納得して取引する均衡価格・数量を示している。この図では均衡価格×均衡数量が金銭的取引の総計、すなわちGDPである。
しかし、消費者が得る経済厚生とは、金銭的取引だけで測れるのだろうか。図1の需要曲線のうち均衡点より左の部分を見てみよう。この部分では、同じ数量ならば、消費者が支払ってもよいと考えている価格の方が、実際に支払われた価格より高い。このことは、消費者が支払い価格以上に満足を得ていることを意味する。この部分を消費者余剰と呼ぶ。GDPでは対価を支払った部分だけがカウントされ、消費者余剰は入らない。つまり、…
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週刊エコノミスト
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