東京市場 小売り株停滞は長期化濃厚=藤戸則弘
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小売り株のさえない状況が続いている。東証33業種の年初来騰落率(4月末時点)では、小売業はマイナス4・76%とワースト2位に低迷している。TOPIX(東証株価指数)が8・35%の上昇なのに対して劣後が顕著だ。著名なコンビニエンスストア、百貨店株も不振である。その背景には何があるのか。
第一に、10月に予定されている消費増税や、今春の食品などの値上げによって、消費者心理が冷え込んでいることだ。内閣府発表の消費者態度指数は下落傾向が鮮明化している。2014年4月の消費増税に際しても、消費者態度指数は急落したが、今回も同様な動きだ。日本人には、「清貧」や「倹約は美徳」との価値観が刷り込まれており、増税と聞いただけで財布のひもが締まってしまう。
第二には構造問題だ。小売業の中でも、コンビニは成長業種との評価が定着してきた。しかし、大手3社の勢力図が完成してしまい、全国津々浦々にまで店舗網が整備された。コンビニの高成長は新規出店による売り上げ増が大きかったが、今や店舗網はスクラップ・アンド・ビルドの時代に入っている。「ロードサイド・ビジネスの限界」が、コンビニ業界にも及んでいる。コンビニを凌駕(りょうが)すると評価されたドラッグストアも、…
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週刊エコノミスト
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