松緑が鳶頭と悪党の二役の演じ分けに初挑戦 小玉祥子
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舞台 十二月大歌舞伎 盲長屋梅加賀鳶
加賀藩お抱えの大名火消し・加賀鳶(かがとび)と悪党の道玄が活躍する「盲長屋梅加賀鳶(めくらながやうめがかがとび)」が歌舞伎座の「十二月大歌舞伎」第二部で上演される。尾上松緑が加賀鳶の頭である天神町梅吉と道玄の二役に初挑戦するのが話題だ。
幕末から明治にかけての大作者、河竹黙阿弥作で明治19(1886)年の初演では梅吉と道玄を名優・五世尾上菊五郎が演じた。その後、二役は五世の長男、六世菊五郎に受け継がれ、さらにその教えを受けた二世松緑があたり役とした。今回演じる松緑は二世の孫だ。
「本郷木戸前勢揃(せいぞろ)い」から「赤門捕物」までの上演。
幕府直属の定火消しとの喧嘩(けんか)に備え、木戸前に日蔭町の松蔵を筆頭に加賀鳶が集結するが、駆け付けた梅吉は一同を止めようとする。押し通ろうとする鳶たちに、梅吉は行くのなら自分を殺してからにしろ、と迫り、考えを改めた松蔵も説得にまわる。加賀鳶たちは、その場を引き揚げることにする。
青梅から江戸に出てきた百姓の太次右衛門がお茶の水の土手際で急な腰の痛みに苦しんでいるところに行き合ったのが按摩(あんま)の道玄。親切を装い療治を申し出るが、太次右衛門の懐中に大金があると気づくと本性を現して殺害し、金を奪う。目が不自由なのは偽りであった。通りかかった松蔵は道玄の落とした煙草(たばこ)入れを拾う。
道玄は自宅で女房おせつを虐待していた。見かねて訪ねてきた姪(めい)のお朝が奉公先の伊勢屋主人から五両もらったと聞いた道玄はそれを種にゆすりを企む。愛人のお兼と伊勢屋に出かけて主人の与兵衛に、お朝にいたずらをしただろうと言い…
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週刊エコノミスト
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