トランプ2.0相手に忠犬ではいられない 片山杜秀
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片山杜秀の闘論席
米国プロ野球のスター選手の収入の、何と桁外れなことか。大きな富はますます大きな富を生む。増えていくお金は人目をひくところに集中的に投下される。一方、小さな富はそれを保つのが精いっぱい。切り崩さねば生きられぬことも多い。かくして貧富の差は開く一方。金融資本主義の世界である。
その一つの極限が、米国の近年の姿だろう。放っておいたら社会が崩壊する。桁外れのお金持ちからは桁外れの税をとる社会主義的な仕方で、所得の再分配を促し、社会の和を保つのがいい。過去の大統領選で民主党の候補指名レースを争ったサンダース氏の路線だった。が、米国流の自由主義と個人主義の伝統が彼の大統領への道を阻んだのだろう。
ならばお金持ちの財産にはあまり手をつけず、貧者もほどほどに救っておくくらいが無難だ。代わりに、お金のあまりかからぬ、言わば「人権擁護の政治」を展開する。セクシャリティーやエスニシティーの問題に取り組んで社会を良くしているとアピールする。それがバイデン大統領やハリス氏の方向性だったろうが、貧者に希望を与えぬ政治には限界があった。
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週刊エコノミスト
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