苦悩する管理組合 独居の高齢者が亡くなったら…… 問われるマンション所有の意味=下桐実雅子
有料記事
東京都杉並区の築約50年の分譲マンションで、各戸の郵便受けに東京電力からの1枚の紙が入っていた。2013年のある日。紙には「共用設備への電気の供給停止について」とあり、区分所有者の1人、小林節子さん(70代、仮名)は驚いたことを覚えている。
慌てて東京電力に問い合わせると、マンションの共用部分の電気代が2カ月前から未納になっていると告げられた。マンションには自治会という組織はあったが十分に機能しておらず、地主だった住人(区分所有者)の男性が長年管理を担っていた。各戸は一律月3500円の管理費を男性に支払い、男性が共用部分の電気代を支払っていた。
滞納したのは、男性が亡くなったからだ。住人らはそれに気づかなかった。ひとまず、区分所有者の住人が夜中に集まり、2カ月分の管理費を出し合って東京電力に支払った。外廊下の電気が止まる事態は避けられた。
残り2117文字(全文2492文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める