週刊エコノミスト Online地域と歩む第90回都市対抗野球

日本野球連盟 谷田部和彦・専務理事(元たくぎん投手) 「引退後こそ真価が問われる」

 私が北海道拓殖銀行に入社した頃は、新日鉄室蘭、大昭和製紙、王子製紙苫小牧、電電北海道と「5強」で本大会の2枠を争っていた。入社の年に本大会出場が決まり、先輩たちが泣いている姿を見て驚いたが、翌年勝てず、2年後に勝ったとき、先輩たちの涙の意味がわかった。

 当時は大会前後に必ず、本店の従業員300人の前であいさつをした。予選で負けたときは「本大会に出られませんでした。応援ありがとうございました」と頭を下げる。選手たちは本業にも力を入れていたが、それでも「好きな野球ばかりやってるのに勝てねえのか」と冷たい視線も浴びた。今はあの頃以上に、野球部に対する会社の目は厳しいだろう。「勝って当たり前」という環境の中で、選手たちは戦っている。

 野球部引退後、再び部に戻ってマネジャーを務め、日本野球連盟に出向中に休部が発表された。前後して、大昭和製紙北海道や熊谷組をはじめとする歴史ある古豪チームが姿を消した。企業の栄枯盛衰であって、やむを得ないこととはいえ、OBにとっても寂しいものだ。

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