週刊エコノミスト Online世界景気の終わり

ECB 利下げに加え量的緩和再開も ドイツ説得が新総裁の試金石?=田中理

 景気や物価の先行きに対する不透明感が高まり、欧州中央銀行(ECB)の追加緩和観測が強まっている。7月の理事会では政策金利に関するフォワードガイダンス(政策指針)を見直し、将来の利下げ姿勢を鮮明にした。今後の経済データを見極め、9月の理事会で2016年以来の利下げに踏み切る公算が大きい。

 欧州債務危機後の景気や物価の低迷に直面したECBは、14年央に下限の政策金利(預金ファシリティー金利)をマイナス圏に引き下げ(図)、15年春に資産を大規模に買い入れる量的緩和を開始。その後、景気や物価の下振れリスクが後退すると、昨年末には4年近くに及んだ新規の資産買い入れを終了し、政策正常化の機会をうかがってきた。だが結局、一度も利上げできないまま、再び追加緩和にかじを切ることになりそうだ。

 現在、下限の政策金利はマイナス0・4%。マイナス金利の開始から5年たち、銀行収益圧迫などの副作用を警戒する声も高まっている。利下げ再開に当たっては、マイナス金利の適用対象を限定する金利階層化など、副作用の緩和措置が検討されそうだ。マイナス金利の深掘りには限界があり、利下げ再開後も物価安定が脅かされれば、資産買い入れの再開にも着手する必要に迫られそうだ。

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