ブレグジット 確度高まる「合意なき離脱」 解散総選挙も視野に=川瀬良美
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英国の与党保守党党首選挙では、事前の見立て通りジョンソン前外相が党首に選出され、新首相に就任した。同首相は「何があっても10月31日に離脱する」との主張を一貫して強調し、保守党員からの絶大な支持を得た。
同首相は、欧州連合(EU)との再交渉を行うとしているが、EU側はこれを拒絶している。また、最大の懸案事項は2020年12月末までの離脱移行期間中、英国が国境管理の具体策を提示できなかった場合に導入されるバックストップ案(安全策)だ。同首相はバックストップ案の修正妥協案の可能性を排除しているが、このままでは議会の承認を得るのは難しい。加えて離脱期限の延長可能性も完全否定しているため、「合意なき離脱」の可能性は、いよいよ現実味を帯びてきたと言えよう。
一方、7月18日に新設された非政府組織の代替措置委員会は、バックストップ案の代替措置に関する報告書を発表した。同報告書では、WTO条項に基づく特別経済圏の設置、国境での検閲に移動検査ユニットを利用すること、企業規模に応じた通関検査の簡素化などの提案が盛り込まれている。しかし、中にはこれまでのEUとの交渉過程で否定された内容も含まれており、EUの承認を経て実現する可能性は極めて低い。
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週刊エコノミスト
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