週刊エコノミスト Online世界景気の終わり

中国経済 インフラ主導の景気刺激に逆戻り アキレスけんは外貨準備の減少=呉軍華

     1989年の天安門事件によって一時期的に失速した時期を除くと、中国経済は79年の改革開放以来の低迷にまで成長が鈍化している。

     政府統計ベースでみても、要注意シグナルが多い。たとえば需要項目別GDPをみると、消費の寄与率が大きく低下している(図1)。6月は、排ガス基準を厳しくするという政策要因によって、消費財の約10%強を占める自動車関連支出の伸びが17・2%にも上昇したという特殊要因がなかったら、消費の寄与率は一層低いものになっていただろう。

     足元の景気の実態と今年の目標値(6・0~6・5%)を勘案すると、下期の中国経済の成長率は6・2%という数値が発表される可能性が高い。しかし、政府の成長目標値が毎年発表されるようになった2003年以降を振り返ると、景気減速が加速しだした12年以降の実績値はほぼ目標値の上下5%以下に収れんしている。この意味で、GDP成長値の予測はほとんど意味がない。

     むしろ不安なのは、輸出増よりも輸入減による貿易黒字が足元の景気を下支えている点である(図2)。これを見ると、18年末ごろから輸出も輸入も前年同月比を下回り始めているが、今年4月に底打ちして5月、6月持ち直したかに見える貿易収支は、輸出の減少を輸入の減少が大きく上回ることで実現している「衰退型」の貿易黒字なのだ。

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