週刊エコノミスト Online世界景気の終わり

新興国 欧米と距離置くトルコの大国主義 くすぶる「リラ急落」のシナリオ=平山広太

    (注)EU加盟国のうち、アイルランド、キプロス、マルタ、オーストリア、フィンランド、スウェーデンはNATO非加盟国 (出所)筆者作成
    (注)EU加盟国のうち、アイルランド、キプロス、マルタ、オーストリア、フィンランド、スウェーデンはNATO非加盟国 (出所)筆者作成

     米中貿易戦争、イランの核開発問題、英国の欧州連合(EU)離脱など、今年後半も金融市場はリスクに事欠かないが、トルコの地政学的リスクも念頭に置いた方がよさそうだ。場合によっては昨年トルコが陥った通貨危機を上回るショックが発生し、悪影響がグローバルに広がる恐れがある。

     最大の懸案は、7月12日にトルコへの搬入が始まったロシア製地対空ミサイルS400を巡る米国との関係悪化だ。トルコは当初、米国製パトリオット・ミサイルの導入を目指したが果たせず、やむを得ず調達先をロシアに切り替えた経緯がある。しかし、ロシアはトルコも加盟する北大西洋条約機構(NATO)の仮想敵であり、米国は「敵対者に対する制裁措置法」に基づく経済制裁をロシアに科している。トルコがS400を導入すれば、同法が定める2次制裁の対象となる上、ロシアへの機密情報の漏えいリスクも懸念される。米国は再考を促しているが、導入に向けたトルコの姿勢はかたくなである。

     昨年の通貨危機は、トルコが国際収支上の重大な脆弱(ぜいじゃく)性を抱える中、米国がトルコによる米国人牧師の拘束に抗議して経済制裁を科したことが端緒となった(図1)。現在のトルコは当時に比べて経常収支が劇的に改善した一方、危機対応に動員できる外貨準備高は縮小した。

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