週刊エコノミスト Online書評

『暴力と不平等の人類史 戦争・革命・崩壊・疫病』 評者・平山賢一

     トマ・ピケティの「所得格差拡大」の衝撃が、再び眼前に現れた錯覚を感じざるを得ない。そのインパクトにもかかわらず、多くの人々の心の中には、「それならば、どのような時に格差が縮小されたのか?」という疑問が残っていたことさえ思い返される。本書は、この素朴な疑問に、歴史的事実とデータを確認しつつ答えようと試みているからである。

     格差が是正される時期は、戦争・革命・崩壊・疫病のいずれか、もしくは複数が発生していた時だとして、多くの歴史的事象を掘り下げながら解説している。2度の世界大戦に代表される大量動員戦争、中国とソ連を中心とした共産主義革命に代表される混乱、歴史上の帝国における統治組織の内部崩壊などの政治的混乱が平等化の時期であったことを、本書では丁寧に確認している。特に、軍事大量動員時には、累進所得税や相続税の導入に…

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