週刊エコノミスト Online書評

『暴力と不平等の人類史 戦争・革命・崩壊・疫病』 評者・平山賢一

著者 ウォルター・シャイデル(スタンフォード大学教授) 訳者 鬼澤忍、塩原通緒 東洋経済新報社 5400円

格差是正には混乱必須? 歴史的事象検証しつつ分析

 トマ・ピケティの「所得格差拡大」の衝撃が、再び眼前に現れた錯覚を感じざるを得ない。そのインパクトにもかかわらず、多くの人々の心の中には、「それならば、どのような時に格差が縮小されたのか?」という疑問が残っていたことさえ思い返される。本書は、この素朴な疑問に、歴史的事実とデータを確認しつつ答えようと試みているからである。

 格差が是正される時期は、戦争・革命・崩壊・疫病のいずれか、もしくは複数が発生していた時だとして、多くの歴史的事象を掘り下げながら解説している。2度の世界大戦に代表される大量動員戦争、中国とソ連を中心とした共産主義革命に代表される混乱、歴史上の帝国における統治組織の内部崩壊などの政治的混乱が平等化の時期であったことを、本書では丁寧に確認している。特に、軍事大量動員時には、累進所得税や相続税の導入に…

残り777文字(全文1215文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

2月7日号

賃上げサバイバル16 大企業中心の賃上げブーム 中小の7割は「予定なし」 ■村田 晋一郎19 インタビュー 後藤茂之 経済再生担当大臣 賃上げは生産性向上と一体 非正規雇用の正社員化を支援20 「賃上げ」の真実 正社員中心主義脱却へ ■水町 勇一郎22 賃上げの処方箋 「物価・賃金は上がるもの」へ意 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事