通貨安競争 勝者なき外需争奪戦 ドル急落なら世界金融危機に=小玉祐一
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通貨戦争の害悪とは何か。よく挙げられるのは、1929年の世界恐慌後、当時の世界経済の盟主だった英国が金本位制から離脱してポンドを切り下げたのを皮切りに世界的なブロック経済化が進み、第二次世界大戦の遠因になったという歴史である。
現状、そうした意味での通貨戦争は起きていない。主要国の中で、露骨な自国通貨売り介入や為替の切り下げを実施している国はない。中国は、むしろ市場の元売り圧力を買い介入で抑えている。米連邦準備制度理事会(FRB)に不満を漏らすトランプ米大統領とて、中国を「為替操作国」に指定した手前、自ら為替介入に手を染めるわけにはいかないだろう。
すでに現実のものとなっているのは金融緩和競争である。これを事実上の通貨安競争とみなせば、「金融緩和のリスク=通貨安競争のリスク」となる。
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週刊エコノミスト
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