国際・政治勃発!通貨戦争

「プラザ合意」に学べるか “ドル安協調”なくば世界経済は縮小へ=重見吉徳

    (注)ドルの実質実効為替レートは1973年3月を100とした指数(出所)米経済分析局(BEA)、FRB、ブルームバーグよりJPモルガン・アセット・マネジメント作成
    (注)ドルの実質実効為替レートは1973年3月を100とした指数(出所)米経済分析局(BEA)、FRB、ブルームバーグよりJPモルガン・アセット・マネジメント作成

     最近の金融市場では、ドル高に歯止めがかからず、米国による保護主義の圧力が強まっている。こうした状況は、1985年9月22日のプラザ合意に至る局面と似ている。

     プラザ合意とは、当時の主要5カ国(G5)の蔵相と中央銀行総裁がニューヨークのプラザホテルに集まり、ドル高是正のため、外国為替市場への協調介入で合意した出来事を指す。くしくもプラザホテルとニューヨークのトランプタワーは、5番街を隔てて、目と鼻の先に位置している。

     簡単に経緯を振り返ろう。ボルカー議長(当時)率いる米連邦準備制度理事会(FRB)は79年10月、12%を超えたインフレを抑えるため、「ボルカー・ショック」と呼ばれる厳格な金融引き締めを行い、金利が上昇。一方、81年1月に誕生したレーガン政権は減税や防衛支出で財政赤字を拡大させた。高金利の米国に資本が流入し、ドルは大幅に上昇する。その後もドル高の勢いは衰えず、貿易赤字は拡大(図)。84年ごろから米国の企業が悲鳴を上げ始める。米議会では翌85年だけで400本もの保護貿易に関する法案が提出されるほど、保護主義圧力が高まった。

     プラザ合意は、米国による保護主義圧力への抵抗と、持続的な経済成長のために、不均衡の是正を目指した政策協調だった。実際、プラザ合意のG5声明は「保護主義圧力に抵抗しない場合、世界貿易は縮小し、実質成長率はマイナスとなり、失業は増大するだろう。債務負担のある開発途上国は必要な輸出稼得を確保できなくなろう」「米国政府は(中略)保護主義的措置に抵抗する」などとうたった。

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