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ルポ香港 緊迫の最前線 犠牲が増幅したデモ隊の闘志 リーダーなき「手足」が連帯=野嶋剛

デモ隊に向けた催涙弾が撃たれた直後のコーズウェイベイ。警官が道路を封鎖=2019年9月(筆者撮影)
デモ隊に向けた催涙弾が撃たれた直後のコーズウェイベイ。警官が道路を封鎖=2019年9月(筆者撮影)

 香港には戦場の匂いが漂っていた。デモ隊が行動に出る週末の夜以外は、一見、平穏な日常に見える。ただ、いつどこで「ドンパチ」になってもおかしくない土地だけが持つ、独特の鈍い緊張がそこにある。

 中国へ犯人の移送を可能とする逃亡犯条例の反対運動が始まってほぼ100日にあたる9月10日、数万人のデモ隊が香港島の米国領事館へ向かった。中国政府や香港政府に圧力をかける「香港人権・民主主義法案」の米国での成立を請願するためだ。だが、警察は予定より早くデモ隊に解散を命じた。反発したデモ隊の一部が、金融街の地下鉄中環駅へ向かった。

 待ち構えていたのは香港警察の反テロ部隊で、純軍事装備の「速龍小隊」。日本のSAT(特殊急襲部隊)のような存在で、デモ隊の天敵だ。速龍小隊を駅の外に出さないよう、デモ隊は駅入り口に火をつけた。

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