不安定化する東アジア 米国の軍事的プレゼンスが低下 中国が深めた“武力”への自信=小原凡司
有料記事
逃亡犯条例改正案を発端に拡大した香港の抗議デモは、勢いを増したまま終息する気配を見せない。香港の反発は、逃亡犯条例改正案の内容だけに向けられているのではなく、中国共産党が香港の自由と民主主義を奪い、自らの管理を強化しようとしていることに対する危機感に基づくものだろう。香港の状況は、台湾の将来にも関係する深刻な問題を含んでいる。現在の香港に対する中国の態度が、中国指導部の国際社会における立場が変化しているという認識を表しているからだ。
香港の中国経済への貢献度が以前に比して低下しているのに加え、中国指導部は、たとえ中国が実力を行使して香港の抗議活動を暴力的に抑え込んでも、中国が国際社会から孤立することはない、という認識へと変化している。中国がそうした認識に変化したのは、多くの国が中国の経済的影響力に配慮して、必ず中国を支持すると考えるようになったからである。この認識の変化は、中国の台湾武力統一の可能性を高めている。
残り2355文字(全文2768文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める