誤解2 実質賃金増の前提 少子化の不都合な事実 年金収支改善のからくり=熊野英生
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財政検証は、公的年金の今後100年間の収支状況を予想するシミュレーションである。シミュレーションが信用に足りるかどうかは、まず前提になる数字で判断される。その点、2019年の財政検証は、収支を計算するときの名目賃金・物価の伸び率が、非現実的なくらいに強い。
財政検証が提示する6パターンの収支予想は、内閣府の見通しと共通している(表1)。賃上げが再開した14~18年度平均の名目賃金上昇率が前年比0・6%であるから、これらは過大な伸びであると思える。
高めの成長実現ケースは、19~28年度までの10年平均の名目賃金上昇率が2・5%、物価上昇率が1・6%だ。低めのベースラインケースですら、名目賃金上昇率が1・3%、物価上昇率が0・8%とこちらも高過ぎる。
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週刊エコノミスト
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