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国民年金と厚生年金の統合を目指せ=小黒一正

 日本の公的年金制度の最大の課題は、老後の防貧機能を堅持しながら、年金財政の持続可能性をいかに高めていくかにある。この関係で重要な改革案の一つが「被用者保険の更なる適用拡大」だ。すなわち「厚生年金の短時間労働者への適用拡大」である。

 理由は単純で、国民年金(基礎年金のみ)から厚生年金(基礎年金+報酬比例部分)に移れれば、基礎年金に加えて厚生年金の報酬比例部分も加わり、老後に受け取る年金額を増やすため、防貧機能を高める効果をもつためだ。

 早ければ2020年に年金改革が行われる予定だが、「被用者保険の更なる適用拡大」の具体的な効果はどうか。この参考となるのが、19年8月下旬に厚生労働省が公表した公的年金の「2019年・財政検証」の結果である。5年前の財政検証(14年)は8ケースだったが、19年の財政検証では、実質GDP(国内総生産)成長率、名目運用利回りや実質賃金の伸び等の異なる条件で6ケース(ケース1~6)を検証している。

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