仮想通貨 リブラ、デジタル人民元が脅かすペトロダラー体制=在原次郎
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米フェイスブックが主導する暗号資産(仮想通貨)「リブラ」の動向に欧米の金融当局が神経をとがらせている。私企業による通貨支配につながるとの懸念のほか、既存の金融システムへの悪影響や不正送金の温床になるといった指摘もある。さらに、中国の「デジタル人民元」の台頭を許すことで、国際決済通貨としてドルにリンクする石油取引の仕組み(ペトロダラー体制)が崩壊し、米国が通貨覇権を失うとの見方すら出始めている。
石油取引の決済手段として、米ドルがその絶大な地位を築いてきた経緯を簡単に振り返ってみよう。契機となったのは、ドルが金(ゴールド)と交換できる建前となった「ブレトンウッズ体制」の崩壊にあった。1971年8月、当時のニクソン米大統領はドルと金との交換停止(ニクソン・ショック)を突然発表。その後、73年に変動相場制に移行したドルは、米政府の信認によるペーパーマネーと変貌した。
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週刊エコノミスト
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