週刊エコノミスト Online食肉大争奪

TPP、日米貿易協定でも豚肉価格は下がる気配なし=高橋寛

    (出所)農畜産業振興機構資料より筆者作成
    (出所)農畜産業振興機構資料より筆者作成

     国産豚肉の価格動向は、国内の生産量と関連している。豚肉生産は、暑さから6~8月に減少し、涼しくなると増加に転じる。

     これを反映して、豚肉価格は需給が逼迫する6~7月に上昇し、東京市場で1キロ当たり600円を超えることもある(上格付けの豚肉)。その一方で、需給が緩まる10月~翌年3月ごろまで、同400円台前半、日によっては400円を割り込み300円台後半まで低迷する。ただし、年末需要のある11月下旬~12月上旬は上昇する(図1)。これが一般的な価格動向なのだが、今年は底堅い動きをしている。10月25日現在の価格は498円と500円に迫る高い水準となった。

     価格高止まりの原因としては昨夏来、中国、東南アジアでアフリカ豚コレラがパンデミック状態になっていることが非常に大きい。さらに、ワクチンも治療法もないアフリカ豚コレラに見舞われて養豚数が激減した中国が、スペインやデンマークなど、欧州からの豚肉輸入を増やしている。欧州豚肉は国際相場に影響を与えやすいため、需要増が国際価格高騰を招く。さらに、日本国内特有の事情として、9月末までで14万頭を超える豚コレラ患畜の殺処分が影響していると考えられる。

     豚コレラは2018年9月に岐阜県で確認され、1年以上経た今年10月でも依然として発生が続いている。これほど長期間、かつ広い地域に感染が拡大している主因は、初動の封じ込めに失敗したことである。今年10月25日からは、岐阜、愛知、埼玉、福井、長野、三重、滋賀、富山、石川、群馬、静岡の11県で順次豚コレラワクチンの接種が始まった。ワクチン接種は06年以来13年ぶりになるが、とりあえずは、感染防止に一定…

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