「何もするな」 新規事業の収益化は困難 貸し出し回帰が生きる道=高橋克英
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低収益で業績不振にあえぐ地銀業界で、奇妙なことが起きている。(1)コンサルティング営業の強化、(2)信託業務の兼営、(3)地域商社や金融とIT(情報技術)を融合させた「フィンテック」企業の設立──と、“全方位的”に業務範囲を拡大している。これはまるで、好業績・成長企業の施策を見ているようだ。
まずダウンサイジング
本来、新規事業は「本業」が傾いている時にやるべきでない。そもそも地銀は、取引先の不振企業に対しては、選択と集中が大事で、本業に集中すべきだとアドバイスしているはずである。新規事業は、立ち上げにはコストがかかり、高い付加価値を出すノウハウも地銀にはなく、既存の競合相手もあり、収益化は容易ではない。
銀行が今すべきことは、(1)本業への集中、(2)新規事業の凍結、(3)店舗と人員のダウンサイジング──である。本業の回復、業績の向上を果たした後に、新規事業の再検討や再開を実施すべきだ(図)。
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週刊エコノミスト
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