週刊エコノミスト Online覚醒する就職氷河期世代

就職氷河期 良質な雇用を 非正規社員が増え40代の所得減 サービス業からの脱却が必要=熊野英生

(出所)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2018年、2008年)より筆者作成
(出所)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2018年、2008年)より筆者作成

 雇用環境が改善する一方、バブル崩壊以降に生じた雇用のひずみは大きい。このまま放置できない代表的な課題が、就職氷河期世代の問題だ。

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 年齢階級別に見て40代のダメージが大きい。40代の所得分布(月額の所定内給与)を2018年と08年で比べてみると、所得階層別の割合で、この10年間で最も減っているのは月40万〜45万円未満の階層で、最も増えているのが月24万〜26万円未満、月26万〜28万円未満の階層である(図、表1)。

 月40万〜45万円の所得を得ている年齢層は、その4割が40代なのである。つまり、中堅所得層のボリュームゾーンである40代が、リーマン・ショック後の10年間で細くなっているのだ。中堅所得層が減っていくと、耐久消費財が売れにくくなり、衣料品・家具も安値製品にシフトする。国にとっても所得税と社会保険料収入を減少させるため、幅広いダメージが経済や財政に及ぶ。

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