原油価格 「中東」も新型肺炎も一時要因 中長期1バレル=60~65ドルで推移=桝本量平
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米国とイランの対立激化を受け、1月3日に原油価格の指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は一時、1バレル=63ドル台と2018年4月以来の高値圏に達した。しかし、米イラン双方がさらなる軍事衝突回避の方針を示した後は50ドル台後半に落ち着いた。最近2年間の高値は、18年10月の76ドル超である。同5月の米国によるイランへの経済制裁によって、イラン産原油の供給懸念から価格が上昇したのだ。原油は中東情勢に敏感に反応してきたが、今回の危機では、市場が「高値圏」の区切りととらえる70ドルを突破することはなかった(図1)。
今後の推移はどうなるのであろうか。供給や需要、長期的な価格推移などから考えると、中東情勢リスクへのセンチメントから一時的に70~80ドルに行く可能性はあるが、その後はおおむね60~65ドル程度で推移すると見ている。なお、1月中旬、新型コロナウイルスによる感染拡大を受けて一時、40ドル台に下落したが、経済活動の減退懸念やリスクオフ局面を反映した一時的な現象とみられる。筆者が中長期で60~65ドル台…
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