抗体薬物複合体 乳がん薬「エンハーツ」の衝撃=濱田一智
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2020年の製薬業界で台風の目となるのは、第一三共だろう。同社が開発した超大型の乳がん薬「エンハーツ」が年初、米国で発売され、2月下旬には国内でも厚生労働省の部会で新薬としての承認が了承された。
業界では、年間売上高1000億円を超え、他を圧倒するシェアや新しい市場を開拓する新薬を「ブロックバスター」と呼ぶが、エンハーツのピーク時売上高の予想は5000億円を優に超し、1兆円に迫るともされる。これは、驚異的な数字で「創業以来の製品規模になる可能性がある」と同社の真鍋淳社長も興奮を隠さない。
市場も好意的だ。エンハーツの臨床試験の良好な成績が目立ち始めた18年初頭から、第一三共の株価は徐々に高騰。決め手になったのは19年3月に発表した英アストラゼネカとの提携だ。これは、アストラゼネカがエンハーツの成功を確信したことを裏付けるニュースとして評価され、以降は株価が高値を更新し続け、この1年でほぼ倍増した(図1)。
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週刊エコノミスト
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