実需の2大国 中国、インドで35%占める 投資家と異なる民衆の買い=亀井幸一郎
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金(ゴールド)価格の動向を読むにあたって、日々の投資マネーの流出入推移を重視しがちだ。しかし、金もコモディティー(商品)であることから、宝飾など基礎的な現物需給にも気を配る必要がある。この現物の需給に大きな影響を与えているのが、インドと中国の動向だ。
インドと中国は、伝統的に金の2大実需国として知られる。両国とも金選好度の強い社会的・宗教的基盤があったが、2000年代以降の経済発展に伴う所得増がいっそう金需要を高めた。19年の需要は両国合わせると1538トンで、世界全体の35%を占める。過去10年のピークとなった13年には両国で2304トンに上った。
インドの人々が金を保有するのは、宗教的背景が強い。光り輝く金の保有は「魔よけ」の効果があり、持てば持つほど富が集まるとされる。金保有は、全人口の55%を占める農村部で活発だ。同国では3年ほど前までは普通預金口座を持つのは、全人口の40%ほどに過ぎなかった。金保有は貯蓄に代わる機能を持ち、資産とみなされる。それも、もっぱら宝飾品として保有されていた。また、嫁ぐ娘に両親や縁者が送る婚礼需要も伝統的に…
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週刊エコノミスト
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