小売り 春商戦前の消費減退が追い打ち=守屋のぞみ
有料記事
新型コロナウイルスの拡大による小売業への影響で特に大きいのは、訪日観光需要、いわゆるインバウンドの減少だ。
インバウンド需要への影響についてUBSは、1月末に中国からの国外渡航規制が始まった段階でシナリオ分析を行った。6カ月程度、中国からの訪日客が2〜5割減少するとの前提を置いて、2020年の訪日客数は89万〜320万人の減少(訪日客数全体の予想3500万人に対し、マイナス2〜9%)が見込まれると試算した。インバウンド消費としては、1700億〜6800億円の減少(インバウンド消費全体に対し、マイナス3〜14%)と試算される。個人消費全体への影響は0・1〜0・2%と軽微ではあるものの、インバウンド売上比率が1割を超えているような百貨店をはじめとする都市型の小売り業態(一部の家電店、ドラッグストア、ディスカウントストアなど)では、無視できないマイナス影響だろう。
実際に、2月の百貨店各社の売り上げは厳しい進捗(しんちょく)となった。三越伊勢丹ホールディングス、高島屋、J・フロントリテイリングなど、大手百貨店のインバウンド売り上げは軒並み7割前後の減収と、新型コロナの影響をもろに受けた格好だ。3月に入って入国制限が拡大しており、影響が更に広がる可能性もある。中国の電子商取引法による代理購入規制(爆買い規制)や消費増税の影響で、昨年から業界全体が減速傾向にあ…
残り453文字(全文1038文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める