何が起きるか/8 限界の米金融政策 利下げ打ち止め マイナス金利も不可=加藤出
世界経済は米国を中心に回っている。その米国経済をコントロールしているのが米連邦準備制度理事会(FRB)だ。FRB議長はしばしば「米大統領の次にパワーを持つ人」と呼ばれる。
FRBの最も基本的な手段は「フェデラルファンド(FF)金利」という銀行同士が1日だけ資金を貸し借りする際の金利の誘導だ。オペレーションと呼ばれる債券売買を行い、流通するドルの量を調整することでFF金利を誘導している。FF金利を引き上げると、連動して国債の金利、預金金利、住宅ローン金利、企業への貸出金利なども上がり、経済にブレーキがかかる。逆に引き下げていけば経済活動は活発化する。
FRBには「雇用の最大化」と「物価の安定」という二つの使命がある。インフレ率は景気が過熱すると上昇し、不況になると低下する。FRBが考える望ましいインフレ率(インフレ目標)は年率2%程度だ。それと不整合が起きない範囲で「雇用の最大化」を実現すべく、FRBは年8回開催するFOMC(米連邦公開市場委員会)で金融政策を決定する。
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週刊エコノミスト
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