マーケット・金融コロナで急変 世界経済入門

何が起きるか/8 限界の米金融政策 利下げ打ち止め マイナス金利も不可=加藤出

パウエルFRB議長もお手上げか(Bloomberg)
パウエルFRB議長もお手上げか(Bloomberg)

 世界経済は米国を中心に回っている。その米国経済をコントロールしているのが米連邦準備制度理事会(FRB)だ。FRB議長はしばしば「米大統領の次にパワーを持つ人」と呼ばれる。

 FRBの最も基本的な手段は「フェデラルファンド(FF)金利」という銀行同士が1日だけ資金を貸し借りする際の金利の誘導だ。オペレーションと呼ばれる債券売買を行い、流通するドルの量を調整することでFF金利を誘導している。FF金利を引き上げると、連動して国債の金利、預金金利、住宅ローン金利、企業への貸出金利なども上がり、経済にブレーキがかかる。逆に引き下げていけば経済活動は活発化する。

 FRBには「雇用の最大化」と「物価の安定」という二つの使命がある。インフレ率は景気が過熱すると上昇し、不況になると低下する。FRBが考える望ましいインフレ率(インフレ目標)は年率2%程度だ。それと不整合が起きない範囲で「雇用の最大化」を実現すべく、FRBは年8回開催するFOMC(米連邦公開市場委員会)で金融政策を決定する。

残り890文字(全文1331文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

6月6日号

上がる金&揺らぐドル 史上最高値への地殻変動16 米実質金利との逆相関 崩れた背景に中銀の買い ■村田 晋一郎/谷道 健太19 これで分かった! 「金」の基礎知識 Q&A ■池水 雄一 徹底展望 2023年末 金価格の見通し22 2300ドル 非民主的国家が買い増し 西側への不信で分断拡大 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事