原油市場 長期停滞期入りを象徴する“異常”なマイナス価格=岩間剛一
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WTI(米国産標準油種)原油先物価格が4月20日、1バレル=マイナス37.63ドルとマイナス価格を付けた(図1)。1983年にWTI原油先物市場がニューヨークに創設されてから初の異常な取引である。ただ、歴史を振り返れば、原油市場はその特性ゆえに価格高騰期と停滞期を繰り返してきた。初のマイナス価格は長期的な価格停滞期入りを象徴する出来事といえよう。
マイナス価格が実現したのは、二つの特殊な要因がある。第一に新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、世界の石油需要が瞬間的に蒸発しているにもかかわらず、OPEC(石油輸出国機構)の盟主サウジアラビアが4月以降、日量1230万バレルへの増産にかじを切ったこと。それに先立ち、ロシアなど非OPEC加盟国による協調減産が決裂していた。
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