ECB国債買い取り「一部違憲」 独憲法裁判決でEUと対立激化=熊谷徹
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ドイツの連邦憲法裁判所は5月5日に「欧州中央銀行(ECB)が2015年からPSPP(公共部門購入プログラム)の名の下に2兆ユーロを超える国債を買い取ってきたことは、ドイツの憲法に部分的に違反している」という判決を下した。この判決はドイツと欧州連合(EU)の対立をエスカレートさせ、コロナ危機に苦しむ欧州の結束を乱す可能性が強い。
ドイツの保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』は5月6日付紙面で「この判決は、EUとECBに強い衝撃を与えた。憲法裁によると、PSPPは銀行預金の利率や生命保険の利回りを減らし、不動産価格を高騰させるなど、市民の生活に多大な悪影響を与えた。金融緩和により物価上昇率を引き上げるという目的に比べると、市民の不利益ははるかに大きかった。だがECBだけでなく、ドイツ連邦政府、連邦議会も…
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週刊エコノミスト
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