貸し出しリスク 宿泊・飲食業だけでない 製造・卸売業こそ留意せよ=大庫直樹
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新型コロナウイルス禍はさまざまな形で地域経済に影響を及ぼしている。地方銀行では貸し出しの際、個々の取引先の債務者区分や内部格付けに基づいてリスク評価することが多いが、地銀経営への影響を測るためにもグローバルな視点に立った業種別の定性・定量分析が欠かせない。
人の移動制限という形で直接的に大きな打撃を被っているのが、小資本の企業が多い宿泊業や飲食業だ。法人企業統計を基に宿泊業や飲食業の企業の純資産を試算すると、小資本の企業の場合は平時の人件費と賃借料、支払利息の3カ月程度であり、言い換えれば3カ月で純資産を食いつぶすことになる。
政府が経済対策として新たに加えた家賃支援により、資本金2000万円未満の平均的な宿泊業・飲食業であれば、半年ほどの家賃をおおよそカバーできる。ただし、これら業種の経費では家賃よりも圧倒的に人件費が占めるウエートが大きく、経済対策としてまだまだ不十分である。
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週刊エコノミスト
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