マーケット・金融地銀の悲鳴

貸し出しリスク 宿泊・飲食業だけでない 製造・卸売業こそ留意せよ=大庫直樹

製造業の経営はグローバルな影響を受ける(東京・大田区の部品工場)(Bloomberg)
製造業の経営はグローバルな影響を受ける(東京・大田区の部品工場)(Bloomberg)

 新型コロナウイルス禍はさまざまな形で地域経済に影響を及ぼしている。地方銀行では貸し出しの際、個々の取引先の債務者区分や内部格付けに基づいてリスク評価することが多いが、地銀経営への影響を測るためにもグローバルな視点に立った業種別の定性・定量分析が欠かせない。

 人の移動制限という形で直接的に大きな打撃を被っているのが、小資本の企業が多い宿泊業や飲食業だ。法人企業統計を基に宿泊業や飲食業の企業の純資産を試算すると、小資本の企業の場合は平時の人件費と賃借料、支払利息の3カ月程度であり、言い換えれば3カ月で純資産を食いつぶすことになる。

 政府が経済対策として新たに加えた家賃支援により、資本金2000万円未満の平均的な宿泊業・飲食業であれば、半年ほどの家賃をおおよそカバーできる。ただし、これら業種の経費では家賃よりも圧倒的に人件費が占めるウエートが大きく、経済対策としてまだまだ不十分である。

残り943文字(全文1340文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事