「終のすみか」から退去も 長生きで狂う人生設計
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「人生100年時代」に向けた課題について取材先と話をしていて、耳を疑うようなことを聞いた。思ったより長生きをして資産が底を突き、入居する高齢者向け施設からの退去を迫られる人が増えているという。施設を「終(つい)のすみか」と決め、自宅を売却して入居した人もいるというから深刻だ。
「統計データはないが、今後もっと増えていく事例だと認識している」。介護施設の経営コンサルティング会社、スターパートナーズ(東京都)の斎藤直路代表が説明してくれた。施設の種類によって上下はするが介護サービスを受けられる民間の有料老人ホームの場合、入居者は居室の利用料や食費などを合わせて少なくとも年間200万~300万円程度を支払うことになるという。急な医療費への備えも必要だ。
こういった支出を年金などの収入で賄いきれないと貯蓄を取り崩すことになるが、「想定より入居が長期化し、貯蓄が底を突いてしまう事例が目立つ」という。単純計算では、施設に入居する期間が5年延びると1000万~1500万円もの費用が必要になる。
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週刊エコノミスト
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