新興国通貨 コロナ拡大でさらなる下落 まだまだ遠い上昇への道=梅沢利文
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新興国通貨は概してドル安や米国金利低下が下支え要因だ。新興国の多くがドル調達をしていることなどが背景となっている。昨年、特に3月以降これらの条件がそろったことで新興国通貨は下支えされた。しかし国によって事情は異なる。最大の要因は新型コロナウイルス感染症に対する対応だ。コロナを早期に収束させた中国の人民元は他のアジア通貨をけん引して上昇した。一方で経済を優先させてコロナ対策が遅れたブラジルのレアルは大幅に下落した。
今後も新興国通貨の最大の変動要因は、引き続きコロナだ。足元で変異ウイルスの感染拡大も見られる。しばらくは各国のコロナに対する姿勢の違いが新興国通貨の動向に影響を与えそうだ。また、昨年は金融・財政政策ともに支援一辺倒だったが、両政策の拡大の余地は狭まっており、今後は巧拙が問われる展開だ。一方で、コロナのワクチン接種が開始され、順調に接種が広まれば新興国の景気回復への期待が高まる。
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週刊エコノミスト
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