米中摩擦の最前線、台湾の〝ゴッドファザー〟が待望される理由=野島剛
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地政学は複合的に動くものだ。世界レベルでの米中新冷戦が始まる前、中国と台湾はすでに「冷対抗」(冷たい対立)と呼ばれる状態にあった。2016年に誕生した台湾の民進党・蔡英文政権が中国と一定の距離を置く方針を掲げ、中国の習近平政権が強く求める「一つの中国」受け入れを拒んできたからだ。
16年ごろの米中関係はまだ流動的な状態にあり、「冷対抗」は台湾海峡での局地的な「雨」にすぎなかった。だが、19年から米中関係が険悪化し、新冷戦が冷対抗に重なって局面が変わった。中国から戦闘機や軍艦による台湾への威嚇は日常化し、先の日米首脳会談で半世紀ぶりに「台湾」が言及された。地政学的競合の暗雲がタイムラグをつけて台湾海峡を覆い、雨は豪雨に変わりつつある。
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週刊エコノミスト
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