マーケット・金融

コロナ禍で大打撃業種への貸出金、地銀の半数で1割増

卸売・小売業&各種サービス業貸出金残高 飲食・宿泊業などへの融資、46行で「1割超の増加」

 コロナ禍の緊急事態宣言によって、休業や時短営業を余儀なくされ、特に大きな打撃を受けたのが、飲食・宿泊業だ。地銀は2020年5月にスタートした「実質無利子・無担保融資」(ゼロゼロ融資)などもあり、苦境に立つ業種に積極的に貸し出しを実行した。

 銀行の貸出先のうち、貸借対照表の区分で、飲食業と宿泊業が含まれる「卸売・小売業」と「各種サービス業」の貸出金残高を見てみると、いずれも、地銀100行中、46行が前期比で1割以上増加させていた。また、前期比2割を超える増加となった地銀が8行あった。増加幅が最も大きかったのは大東銀行(福島県)で30%を超えた。貸出金残高を増やした上位10行のうち、7行が第二地銀だった。

 逆に、貸出金残高を前期比で減少させた地銀は5行にとどまった。

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沖縄でも急増

 観光が主産業の一つである沖縄にある沖縄海邦銀行は13%増で29位。飲食業だけで貸出金が前期比4割増え、うちコロナ関連融資は8割を占めた。宿泊業向けの貸出金も15%増え、うち3割はコロナ関連融資だったが、このほかにホテルなどプロジェクトの融資もあったという。

 ゼロゼロ融資などの支援策で倒産件数(負債額1000万円以上)は、コロナ禍以前よりも減った。東京商工リサーチによると、20年度の全国の企業倒産は7163件(前年度比17%減)で、30年ぶりに8000件を下回った。今年3月に申請が終了したゼロゼロ融資の保証承諾件数は131万件で、金額は22.2兆円。国内企業数は385万6000社あるとされ、3社に1社が申請したことになるという。

もろ刃の剣

 一方で、地銀にとって飲食業や宿泊業への貸し出し増加は将来のリスク要因になる。東京商工リサーチの坂田芳博情報本部情報部課長は「コロナ禍支援で、ノーリスクで増やした貸出金だが、今後は貸出先の倒産でコロナ前の貸し出しも不良債権化するという“もろ刃の剣”となり得る」と指摘する。

 不良債権化が想定以上に進めば、地銀は貸し倒れを防ぐために与信費用を積み増さなければならず、それが収益悪化を招く可能性もある。全国地方銀行協会の大矢恭好会長(横浜銀行頭取)は今年5月の記者会見で「コロナで過剰債務を抱えた企業も少なからずある。そうした企業に各行が経営改善計画を一緒に作るなど伴走して支援していくことが地銀の役割」と強調した。

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