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地銀ランキング 貸出金利回り 半数で「1%割れ」
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地銀が中核業務である「貸し出し」によって、何%の利益を得ているかを示す指標が「貸出金利回り」だ。
編集部が調査した地銀100行のうち、貸出金利回りが1%割れとなった地銀は51行と、2年前の調査時の2019年3月期の3割から大幅に増加した。
利回りが高い上位20行のうち、前期と比べて貸出金利利回りが上昇したのは、東京スター銀行(非上場)だけだった。
地銀の貸出金利は低下傾向が続いている。背景には日銀のマイナス金利政策がある。「地銀は貸し出しが罰ゲームのようになっている」。ある金融コンサルタントは指摘する。貸出金利の基準となる日本の10年国債利回り(長期金利)は足元0.03%と低迷が続いている。地銀は、人件費などコスト要因を考慮すると、頑張って貸し出ししても収益につながらない構図となっている。
佐賀共栄銀の二宮洋二頭取は「無理な金利競争はやめた」と話す。人員削減など徹底したコスト管理で無理な融資ビジネスに見切りをつけるとともに、行員の業績項目に融資残高を入れないなど特色のある経営だ。非上場だからこそできるという強みもある。
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第一地銀と第二地銀の経営戦略の違いも浮き彫りになった。貸出金利回り上位20行のうち16行を第二地銀が占めた。第一地銀が金利の低い大企業などへの融資が多いのに対し、第二地銀は相対的に金利が高い融資に照準を絞っている傾向がうかがえる。
主力の貸し出しが苦戦する中で、地銀の運用難も加速。日銀のマイナス金利政策が始まった16年以前に購入した相対的に利回りが高い国債が相次ぎ償還期を迎える。有価証券運用利回りが1%未満の地銀は55行と、2年前の45行から増加した。
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