マーケット・金融

中小企業等貸出残高増減率 9割超で増加

「中小企業等貸出残高」は、資本金額と常用従業員数によって中小企業に区分される事業者および個人に対する貸出金の残高だ。個人向けの住宅ローンなども含まれる。

 2021年3月期の地銀各行の同残高の前期比増減率を見ると、99行中98行で増加した。コロナで全国的に中小企業の資金繰りが悪化したためだ。

中部で急増

 特に伸び率が大きかったのが中部地方の地銀だ。自動車メーカーと取引関係がある企業や名古屋都市圏内の飲食・小売業が資金繰りで苦しくなり、実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の申し込みが殺到した。

 前年比伸び率上位20行の中に、愛知銀行(1位)、名古屋銀行(4位)、中京銀行(8位)と愛知県の3地銀が入った。名古屋銀は貸出金残高の伸び率12%増に対して、中小企業等貸出残高は22%増と大きく上回った。同県は自動車関連の製造業企業が多く、そうした会社を融資先に多く持つ地銀が貸し出しを増やしたようだ。

 こうした地銀の資金繰り支援が支えとなり、20年度の中部3県(愛知、岐阜、三重)の企業倒産(負債額1000万円以上)は、19年度に比べ15%減の675件となった(東京商工リサーチ名古屋支社調べ)。これは1991年度(585件)以来、29年ぶりの低水準だった。

100行ランキング表はこちら

 残高の伸び率は、比較的規模が小さい地銀の方が、規模の大きい地銀よりも伸びが大きい傾向がうかがえた。上位には全地銀の中で総資産が最も小さい佐賀共栄銀行(10位)や、福岡中央銀行(5位)などが入った。

 一方で、北國銀行や第四北越銀行など5行は同残高の伸び率が2%以下にとどまった。

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