50万円EVで6億人市場に火が付いた中国EV市場に大手、ベンチャー、独VWまで参入し百花繚乱
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中国の新潮流 低価格の小型EVが大ブーム 独VWも新モデル投入で攻勢=吉野あかね
「人民の足」と呼ばれ大ヒットしている小型EV「宏光ミニEV」。中国ではいまや米テスラをしのぐ人気だ。この小型EVに続こうと、新興メーカーや大手までが参入し始めた。
破格の46万円も登場
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「宏光ミニ」は、中国自動車大手の上海汽車集団と米ゼネラル・モーターズ(GM)の合弁会社、上汽通用五菱汽車の小型EVだ。航続距離120キロで約49万円という安さで、昨年7月の発売から9カ月で27万台を売り上げ、一躍人気車種となった。
今年1~6月の販売台数は15万7939台と、テスラの「モデル3」(8万4845台)や「モデルY」(4万6180台)、中国大手EV比亜迪(BYD)の「漢EV」(3万8664台)など大手を軒並み抜き去り、EVでトップになった。
宏光ミニの人気に続こうと、新興メーカーの参入も相次ぐ。
雷丁汽車(LETIN、山東省濰坊市)は5月、小型EV「雷丁芒果」を発売した。航続距離は130~300キロ。価格も約51万円に抑え、上位モデルでも約86万円と日本の軽自動車と変わらない値段だ。4月に予約販売を始め、1カ月足らずで2万6000台を受注、早くも高い人気を集める。雷丁汽車は08年、最高時速70キロ以下の低速EVメーカーとして誕生。19年にはEVも手掛ける野馬汽車を買収。年内に中国各都市に1000店の販売網を広げ、23年に60万台を販売する野心的な目標を掲げている。
19年に創業した新興EVメーカーの凌宝汽車(江蘇省徐州市)は4月、「凌宝COCO」と「凌宝BOX」の2モデルを発表した。凌宝COCOは約46万円と、宏光ミニEVよりも安く抑え、「現時点で最も低価格の小型EV」(同社)だ。
凌宝BOXは約58万円。航続距離は凌宝COCOが120キロ、凌宝BOXは140~351キロ。価格帯と航続距離に幅を持たせた。凌宝汽車は「月収3カ月分の小型EVをつくる」方針。年間販売台数は今年5万台に、25年には60万台に引き上げる目標だ。
大手メーカーも小型EV市場の成長性に目を付ける。重慶長安汽車傘下の重慶長安新能源汽車科技は1月、新モデル「奔奔E│Star」を発売。航続距離150キロのモデルは約51万円。小型EVでは珍しい5人乗り5ドアだ。
中国最大の私有自動車メーカー、長城汽車(河北省保定市)は4月の…
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週刊エコノミスト
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