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教育現場は無策の状況……証券会社や生保会社といか連携を図るかが今後のカギ=編集部
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教育現場 表面的な説明で終わる可能性も 証券会社など専門家との連携を=編集部
「もっとリアルな金融の話が必要だ」
証券会社に勤めていた経歴を持ち、生徒に金融教育を教えている茨城県立常陸大宮高校商業科の横山治輝教諭は、こう語る。
横山氏はあくまでも自分の周りでは、と前置きをしつつ「金融教育の対策は全然立っていない」と、半年後に迫った家庭科における金融教育の準備状況を指摘する。教師側に熱意のある人は多くいるものの、文部科学省や教育委員会から、特別な指導があるわけでもなく、何をやればいいのか分からない現状があるという。
今後も現場の教師の対応がうまくいかなければ、日本証券業協会などから専門家を派遣してもらい、講義を行うという形が無難な流れになる。しかし、いまの教育現場はリアルなことには触れてはいけないという空気があるといい、そうなれば、表面的な講義・解説で終わる可能性は高い。
たとえば、「個人型確定拠出年金制度(iDeCo)」や「少額投資非課税制度(NISA)」を説明する際、税制優遇をする制度だという説明はしても、その裏にある意図、つまり将来の年金支給額が減る恐れがあり、それを補い備える手段として自分で資産運用することの大切さを伝えることまではしないということだ。
しかし、投資や資産運用の目的や意義を知らない高校生に表面的な説明だけをしても、将来これらの制度を利用しようとはならないだろう。
証券会社と提携
横山氏は生徒にリアルな金融教育を学ばせるために、専門家に教育現場に入ってきてもらう形を採った。
常陸大宮高校では金融教育の一環として2016年、生徒が素材開発、商品開発、販売まで行う株式会社「HIOKOホールディングス」を設立。19年には藍澤証券と包括連携協定を結び、企業の財務分析やチャート分析、株式取引などについての講義を通して、実際に株式運用も経験させている。この試みで、生徒の…
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週刊エコノミスト
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