経済・企業 EV世界戦
半導体&関連装置 EV時代の成長株は=阿部哲太郎
有料記事
EV時代の成長株1 半導体&関連装置=阿部哲太郎
ローム 次世代SiC量産始まる
自動車の電装化や自動運転により得意とする半導体素子(ディスクリート)、電力の制御や変換をつかさどりEVの性能を左右する「パワー半導体」による成長が期待される。中でも成長をけん引するのは次世代のSiC(炭化ケイ素)パワー半導体だ。2010年にはSiC製のMOSFET(モスフェット=金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)の量産を開始している。SiC半導体は従来のシリコン製に比べて高耐圧・低損失・小型化が可能で、車載・産業機器向けでの需要増が見込まれる。
20年に発売した新型の第4世代SiC─MOSFETの引き合いが好調。EVの充電時間短縮のためのバッテリーの高電圧化に対応し、高耐圧かつ電力損失も少ない点が特徴だ。同時にEVのコアとなる駆動用インバーター向けSiCパワーモジュール(複数のパワー半導体を集積した部品)の開発も進めており、25年度までの中期経営計画では世界シェア20%から30%への拡大を目指す。
生産設備強化に向けた投資も進めている。SiCの課題である量産コストの低減のため材料となるウエハーも現行の4インチ、6インチから8インチへの大口径化に取り組んでいる。22年からは子会社のローム・アポロ(福岡県広川町)の筑後工場のSiCパワーデバイスを生産する新棟の稼働開始が予定されている。
8月上旬に中国の吉利汽車集団(ジーリー)と次世代パワー半導体分野の技術提携を発表した。提携の第一歩としてロームのSiCパワーデバイスを搭載した駆動用インバーターが、吉利汽車が開発中のEVに搭載される。SiC車載半導体は、投資から業績貢献へのフェーズへいよいよ切り替わる。
富士電機 電力制御技術で受注急増
パワーエレクトロニクスシステム、半導体に注力し、設備投資額の9割、研究開発費の8割を集中して投じている。直近の21年4~6月期(第1四半期)は営業利益の増益額のほとんどが半導体セグメントによるもので、業績のけん引が顕著となっている。パワー半導体の4~6月期の受注高は前年同期比7割増と非常に堅調だ。
特に独自開発したハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)のパワーコントロールユニット(電力を適切に制御する機器)向けのRC-IGBT(逆導通型の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)の引き合いが強い。RC-IGBT…
残り1920文字(全文2920文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める