経済・企業 日本株 上昇相場へ
半導体は一段高へ レーザーテク、東エレクなど 製造装置で日本勢の強さ続く=阿部哲太郎
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昨年から買われていた半導体株が足元で、さらに騰勢を強めている。
年央にかけて米国の金融政策の不透明感もあり、グロース(成長)株の一服とともに頭を抑えられていた。市況ピークアウトへの警戒感や強弱感の対立が重しとなる場面もあったが、直近では欧米株や日本株が高値圏で推移する中戻りの強さを見せている。
半導体株の物色の動向を探るため、年初来から9月8日時点の上昇率を比較した(表)。米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は米国に上場する主要な30銘柄の半導体株で構成される株価指数で、この期間23%上昇した(図)。この間にNYダウ工業株30種平均が16%、日経平均株価は11%上昇している。
SOX指数の上昇率を上回っている銘柄を見てみると、レーザーテック、日本電子、ウシオ電機など最先端の微細化が進むEUV(極端紫外線)露光に関連した銘柄が買われている。また富士電機、サンケン電気、米オン・セミコンダクターなど脱炭素や自動車の電装化で重要なパワー半導体に関連する銘柄も強含んでいる。
蘭ASMLホールディング、米アプライド・マテリアルズ、東京エレクトロンも買われており、設備投資で高シェアの銘柄が順当に評価されている。
半導体株を巡っては強気と弱気の材料が交錯している。7月に半導体業界の国際団体SEMIは2021年の半導体製造装置市場の予想を上方修正した。21年は前年比34%増の952億ドル(約10兆4000億円)に急成長する見通しで、22年にかけても5%を超える成長を見込む。最大市場である中国が国産化投資を進め、半導体不足が深刻化するなか、増産に向けた設備投資が活発化している。
一方でメモリー市況の悪化への懸念も台頭している。DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)がパソコン向け在庫の増加を受け、価格が足元でわずかに下落に転じている。年末から22年初にかけて下落が続くとの見方も出ており、19年に起こったようなメモリー市況の調整を警戒する向きもある。
もっとも5G(第5世代移動通信システム)向けモバイル、サーバー向けの伸び、生産調整の動きもあり、大幅な市況悪化の可能性は低いと見ている。
4~6月期決算は堅調
8月に発表された半導体関連企業の21年4~6月期決算や見通しは総じて堅調だった。
東京エレクトロンの21年4~6月期の売上高は前年同期比44%増の4520億円…
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週刊エコノミスト
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