経済・企業 日本株 上昇相場へ
デフレが来る!? コロナで構造的な需要減に 終息後に飲食・小売り値下げ=藤代宏一
日本の消費者物価は、エネルギー価格や特殊要因(携帯電話料金引き下げなど)を除くと実勢は0%台前半と考えられる。極めて大きい負の需給ギャップ(需要不足)を抱えている割に、物価はさほど下がっていない。
不完全な消費者物価指数を補完するために、日銀短観で非製造業の価格設定スタンス(販売価格判断DI=売価を上げたと回答した企業数と売価を下げたと回答した企業数から算出)を確認すると、大企業、中小企業ともに新型コロナウイルス感染症のパンデミック(感染爆発)発生前の水準に戻りつつあることが分かる。非製造業の価格スタンスを重視するのは、日本国内で生じているインフレ動向を把握するのに適していると考えられるからだ。
「内生的」なインフレ動向を推し量るには、為替や原油価格の変動などによって価格設定スタンスが変化する製造業よりも非製造業が適している。一度は大きく沈んだ販売価格判断DIが元の水準に戻りつつあるのは、企業が値下げによって需要を掘り起こす戦略に距離を置いていることが理由だろう。
コロナ禍における需要不足は、通常の景気後退局面とは異なり、パンデミックによる活動制限に起因しているため、果敢な値下げを実施したところで客足が急回復しないことは自明である。そうした状況下で企業は採算確保を優先し、値下げ競争に慎重と考えられる。
大手が価格競争へ
コロナが終息した後はどうなるか。筆者は飲食店や小売りなど一部のサービス業で値下げ競争が加速する可能性があるとみている。
仮に感染が期待通りに封じ込められたとしても、コロナ禍で傷んだ雇用・所得環境が完全回復しなければ、消費者は支出をためらうため、企業の価格決定力は元…
残り436文字(全文1136文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める