経済・企業

リスク3 物価上昇で天井接近 米物価急騰でも低金利は続くか=市岡繁男

港湾の混乱も物価高に拍車をかける Bloomberg
港湾の混乱も物価高に拍車をかける Bloomberg

長期金利の10年移動平均に注目

 8月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.3%上昇した(図1)。ガソリンや食料品の価格上昇にはバイデン政権も警戒を強めているが、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は「インフレ傾向は一時的で、物価の安定に進展が見られる」と楽観している。

 CPIは、株価と関係の深い米国の「長期金利(10年国債利回り)」に影響を与える。過去1970年代から80年代前半は長期金利がCPIを後追いする状態が続いた。物価上昇に対してFRBの利上げが遅れたためだ。80年前後にはCPIも長期金利も15%前後に達した。

 80年後半以降は、ほぼ長期金利がCPIを上回ってきたが、足元はCPIが長期金利を上回っている。今は主にFRBの国債買い入れで金利上昇を抑えているが、テーパリング(量的緩和の縮小)で買い入れ額を減らせば上昇圧力が強まる。インフレが続けば、量的緩和を続けることで長期金利を低位に維持できるかは疑問だ。

残り294文字(全文712文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月16日・23日合併号

今こそ知りたい! 世界経済入門第1部 マクロ、国際政治編14 長短金利逆転でも景気堅調 「ジンクス」破る米国経済■桐山友一17 米大統領選 「二つの米国」の分断深く バイデン、トランプ氏拮抗■前嶋和弘18 貿易・投資 世界の分断とブロック化で「スローバリゼーション」進行■伊藤博敏20 金融政策 物価 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事