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国際・政治 チャイナウオッチ 中国視窓

李克強首相の農村視察を中国メディアが完全黙殺した理由は=金子秀敏

富裕階層の財産を国に寄付させる共同富裕」で、習氏は政権基盤の強化を目指す Bloomberg
富裕階層の財産を国に寄付させる共同富裕」で、習氏は政権基盤の強化を目指す Bloomberg

共産党指導部が分裂状態に 個人崇拝に走るメディア=金子秀敏

 中国の指導部は9月に入って事実上、分裂状態になった。

 ひとつは共産党中央宣伝部や国家インターネット情報弁公室など習近平国家主席の影響力の強い部局で、民営企業に対する規制を強化したり、富豪や芸能人を西欧文化の害毒に染まっているとネット上で攻撃している。毛沢東時代の文化大革命の悪夢を思わせる激しさだ。

 もうひとつは李克強首相の国務院で、習主席とは逆に民営企業の支援、雇用創出など従来の経済政策を継続している。

 9月中旬、習主席は陝西省西安市を視察した。スポーツ大会の開会式のほか、軍の基地を訪れ「いくさの準備に集中せよ」と訓示した。「幻想を捨てて(国民党や米国との)闘争を準備せよ」という国共内戦時の毛沢東の言葉を踏まえ、台湾に対する武力行使や米国との武力衝突を示唆している。

 人民日報、国営テレビなど党メディアは連日、習主席の視察を1面トップで報道した。この時、李首相は広西チワン族自治区の民営工場や農村を視察した。「民営企業は中国経済の基礎」などと語ったが、党メディアは完全に黙殺し、国務院のホームページに短信が出ただけだった。

3選持ち越しが契機

 なぜ党メディアは習主席にそれほど焦点を当てるのか。習主席は来年の第20回党大会で総書記3選を狙っているが、8月の「北戴河会議」(党指導部と長老の非公式会合)で、習主席の個人崇拝に批判が出て、3選内定が持ち越されたといわれている。

 個人崇拝の否定など北戴河会議の議論は8月26日、党中央宣伝部から「中国共産党の歴史的使命と行動価値」として通達された。8月末の党中央政治局会議では、11月開催の…

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