米国再エネ関連エンフェーズ、ESG潮流は住宅需要拡大にも=児玉万里子
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エンフェーズ・エナジー 米国太陽光住宅で業績拡大/1
◆Enphase Energy
米国のエンフェーズ・エナジー(以下、エンフェーズ)は、太陽光発電のパネルにつなぐマイクロインバーターの世界トップメーカーである。マイクロインバーターは、住宅用などの小規模な太陽光発電に使われる超小型のパワーコンディショナー(電力変換装置)を指す。同社はこれに蓄電システムを組み合わせて提供している。2006年の会社設立以来マイクロインバーターの開発を進め、08年に初代モデルを発売。21年6月末までに、累計3600万台以上のマイクロインバーターを、130カ国以上に設置している。
従来の大規模な太陽光発電では、複数の太陽光パネルで発電した電気エネルギーを1カ所に集め、パワーコンディショナーによって直流電流を交流電流に変換する。これに対して、マイクロインバーターは太陽光パネル1枚ごとにパネルの裏側に設置され、直流から交流へ変換し、モニタリングとコントロールをする。従来のやり方に比べると、発電ロスの抑制、設計や施工の簡略化、個別のパネルの稼働状態のモニタリングのしやすさなどの点で優れている。設備はパネル1枚から4枚程度と小規模であり、発電電力は自家消費が中心となる。
マイクロインバーターは、最近10年間に米国で普及してきた。エンフェーズの売上高も米国内(特にカリフォルニア州)が8割以上を占める。新製品発売のタイミングや販売価格の低下圧力などにより、売上高は一時停滞したが、19年(12月期)に前年比で倍増し、20年も高い伸びが続いた。20年のマイクロインバーターの出荷台数は683万台、売上高は7億7400万ドル(約851億円)に達している。21年も売上高は増加を続け、上期(1~6月)は前年同期の約1・9倍にのぼる勢いだ。マイクロインバーターのシステムは、設置やメンテナンスのコスト高が難点とされるが、販売数量の増大は今後のコスト引き下げにつながるはずだ。
アジアに製造委託
エンフェーズは製造設備を持たず…
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週刊エコノミスト
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