経済・企業 FIREの資産形成術
住まいはどうする? 「賃貸」より「購入」有利 緩く働いて収入も確保=平澤朋樹
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住まいはどうする? 「賃貸」より「購入」有利 緩く働いて収入も確保=平澤朋樹
FIRE(経済的な独立、早期リタイア)後の人生をどう過ごしていきたいかによって、当然に必要なお金や取るべきリスクなどは変わってくる。とはいえ、どのようなケースでも住まいの確保は必須の条件だ。ここでは、FIREに当たって住宅は購入と賃貸のどちらがいいのか、いずれの場合でもどの程度、資金が必要となるのかについて考えてみたい。
なお、本稿では、独身で倹約的な生活をするのではなく、子どももいて家族で生活し、定年退職する場合と変わらず老後の生活までを想定してシミュレーションする。
70代で購入が逆転
シミュレーションの前に、まずは家計収支の大前提を考えてみたい。人生の3大資金である住宅資金、教育資金、老後資金は、FIREする・しないにかかわらず変わらない。FIREをすれば、厚生年金保険料の支払いはなくなり老齢年金の受給額は減る。一方で、国民健康保険になることから、一定の民間保険の活用も必要だ。これらの要素を入れた上、以下の条件を設定してシミュレーションをしてみたい。
家族構成と収入:夫35歳、妻32歳、子どもは1人で1歳、妻は育児休業を終え時短勤務を開始したところで、子どもが小学校3年まで時短勤務を継続。年収は夫が800万円、50歳で1000万円、妻は時短中280万円、フルタイム時350万円。FIREする時期は夫50歳をターゲットとする。
資産:現在は1500万円。50歳時点の退職金は1200万円ほどを見込む。
支出:生活費は保育費を含め月37万円、家賃は17万円。教育資金としては高校まで公立、大学のみ私立理系として試算し保育費や習い事、塾代も含めて約1700万円を想定。物価上昇を年1%程度と仮定すると、年金の受給開始となる65歳以降の生活費は住居費を除き月40万円強。
まずは1年後に5500万円で中古マンションを購入した場合を見てみよう。仲介手数料などの諸費用を6%とすると必要な費用は5830万円。頭金500万円を含めた830万円を自己資金として支払い、5000万円のローンを組む。借り入れ金利は変動0・4%とするが、試算の便宜上、金利上昇は見込まない。
賃貸の場合と比較しやすくするため、住居費が家賃と同額程度になるよう管理費・修繕積立金、固定資産税を設定し、ローンを含む住居費は当初年間203万円(月額約1…
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週刊エコノミスト
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