国際・政治 ワシントンDC
ラオス少数民族出身の体操女子選手が米国人の心を捉えた理由=小林千代
有料記事
体操女子「金」で再認識 移民が生み出す活力とは=小林知代
今夏の東京五輪で多くの米国人に強い印象を残した選手といえば、体操女子個人総合で金メダルを獲得したスニーサ・リー選手ではないだろうか。彼女は、金メダルの最有力候補と言われたシモーン・バイルス選手が決勝を棄権したため、米国の期待を一身に背負ったが、地に足がついた演技で見事、期待に応えてみせた。
演技に引けを取らず米国人の心をとらえたのは、ミネソタ州からテレビ中継された、涙ぐむ彼女の両親や歓喜する同郷の人々の様子だった。彼女の両親は、中国や東南アジアの山岳地帯に住むモン族の出身だ。米紙によると、もともとラオスに住んでおり、ベトナム戦争の際は米軍を援助した。しかし、ラオスで1975年に社会主義政権が誕生し、ベトナム戦争が終結すると、ラオス政権の迫害を逃れるために米国に移住した。
彼女を応援するモン族の人々を見て、これこそアメリカンドリームの象徴ではないかと感じた。
米国で移民人口が多い5州は、上位からカリフォルニア、テキサス、ニューヨーク、フロリダ、ニュージャージーといわれる。大都市には多様な移民コミュニティーが存在する。米国では各都市の移民分布率と呼ばれる指標があり、例えば、バージニア州で最も多い移民はエルサルバドル系12%、ニュージャージー州はインド系13%、マサチューセッツ州は中国系8%など、母国ごとの移民人口率を表している。ちなみに、ミネソタ州にはモン族の一大コミュニティーがある。
ベンチャー起業家も高率
移民人口率は、米国人が引っ越し先を決める際の重要な選定基準だ。移民が多いほど多様性が高く、知的刺激あふれる土地という印…
残り622文字(全文1322文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める