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自然災害に強いまちづくり銘柄24社=和島英樹
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防災 自然災害に強い街づくりに不可欠な市場が注目する24社=和島英樹
大きな自然災害が起きるたびに注目されるのが、インフラの老朽化だ。国土交通省によれば、建設後50年以上経過する社会資本の割合は、道路橋で2018年3月で25%だったが、23年に39%、33年には63%に達する見込みだ。トンネルも18年の20%が、23年に27%、33年に42%になるとしている。下水道や港湾の岸壁なども経年による劣化が進む。国土の強靭(きょうじん)化は継続する必要がある。
政権与党の自民党の岸田文雄・新総裁は国土強靭化に前向きだ。政府は21年度から5年間、15兆円をかけて防災・減災、国土強靭化のための5カ年加速化対策を進める。気候変動の影響で気象災害が激甚化、頻発化し、高度成長期に整備されたインフラが一斉に老朽化していることに対応する。想定される大規模地震にも備える。
岸田氏は9月の総裁選で、関連する投資の拡大を言明。政府が既に決めた15兆円の事業規模を拡充し、災害に強い地域づくりを促進するとした。総裁就任後にも数十兆円規模の経済対策を年末までに作り上げると宣言した。防災・減災対策も含まれる可能性が高いといえる。
インプラント工法
油圧式杭(くい)圧入引き抜き機などのメーカー、技研製作所は圧入式杭打ち機は国内シェア9割を占めると推計されるパイオニア的な存在だ。
自然災害が多発する年に、特に注目されているのが、杭状の構造部材を地中深くに連続して埋め込んでいく「インプラント工法」だ。建築物と基礎部が一体となった構造部材を油圧による荷重で地中に押し込む。一本一本の杭が地中深く、根を張ることで、地震による液状化や津波などの外力に粘り強く耐えるという。
一般的な工法は比較的浅いところに基礎を打つが、巨大地震や津波で基礎が流される可能性が高い。同社は11年の東日本大震災を受け、復興支援体制の強化と防災・減災に向けた新技術の提供を目的にして国土防災技術本部を設置した。インプラント工法は緊急性や重要性の高い災害復旧工事や、防災・減災工事を中心に海岸堤防や河川護岸、岸壁の改良橋脚の耐震補強、道路の延伸・改良など幅広く採用されている。
橋梁(きょうりょう)の補修工事で首位のショーボンドホールディングス(HD)は「造らない建設会社」とも呼ばれる。
橋梁をはじめとする社会インフラの補修・補強を専門とする「総…
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