「原発から出るプルトニウムで核兵器製造は十分可能だ」=鈴木達治郎
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鈴木達治郎 長崎大学核兵器廃絶研究センター副センター長・教授
日本の原発から出るプルトニウムは、核兵器の製造に適さないとの説があるが、大きな誤解だと語る。
(聞き手=和田肇・編集部)
日本の原発の使用済み核燃料に含まれるプルトニウムには、核兵器に必要なプルトニウム239の割合が低い(約60%程度で原子炉級プルトニウムと呼ばれる)ので、核兵器に適さないとの話をよく聞く。熱が出るので扱いが難しいとか、設計通りの爆発威力が出ないので、実用的ではないなどと言われる。
しかし、原子炉級プルトニウムを使っても1キロトン以上の威力は出せると言われており、これでも大変な威力だ。北朝鮮の最初の核実験がその程度の規模とされる。そもそも現代の核兵器の主流であるブースト型(原爆の起爆剤として少量の核融合反応を起こし、そのエネルギーでさらに核分裂反応を起こす)やそれらを用いた水爆では、プルトニウムのグレードは関係ない。
国際原子力機関(IAEA)によると、プルトニウムは組成に関係なく8キログラムあれば、核兵器は製造できる。兵器級プルトニウムならさらに少量でできる。日本のプルトニウム保有量は、英国とフランスで一時的に保管してもらっている約37トンと日本国内に約9トン。高速増殖炉の実験炉「常陽」と高速増殖原型炉「もんじゅ」の使用済み燃料から回収されたプルトニウムは、濃度が高く(約70%)、これが約400キログラムあるが、高速増殖炉ではブランケット燃料(天然ウラン)から兵器級のプルトニウムを回収することができる。茨城県東海村の日本原子力研究開発機構の研究施設には、兵器級に近い(約80%)プルトニウムが100キロ…
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週刊エコノミスト
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