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東芝“3分割”の復活策に死角 「非上場期待」剥落で株急落も=町田徹

 経営危機に翻弄(ほんろう)されてきた東芝が11月12日の中期経営計画で、大手企業として初めて、会社を独立した3社に分けてそれぞれ上場する「スピンオフ(分離)」を目指す再編戦略を打ち出した。

 狙いは、対立が目立つ「モノ言う株主(アクティビスト)」との関係を改善することだ。事業再編に必要な事業監査期間(2021年度から2事業年度)に積極的な株主還元(1000億円程度)に取り組むという。

 東芝が目指すのは、(1)ビルの保守管理や発電のシステムを受け持つ「インフラサービス」会社、(2)光半導体、HDD(大容量記憶装置)、半導体製造装置などを商う「デバイス」会社、(3)NAND型フラッシュメモリーを製造するキオクシアとPOSシステムメーカーの東芝テックの株式を保有する存続会社「東芝」──の3社に分離する計画。設備投資のサイクルなどがよく似たビジネスを集約し、経営を効率化する戦略だ(図)。

 その意図は、理論上の事業価値の合計よりも、会社の株価が割安に放置される“コングロマリット・ディスカウント”の解消にある。うまくいけば、アクティビストが以前から保有する株式と新たに取得する株式を売却してエグジットする(投資のリターンを得る)道筋を付けられる、と東芝は踏んでいるわけだ。だが、もくろみ通りになるかは未知数だ。

万策尽きた「負の歴史」

 東芝が歩んできた“解体の歴史”を振り返っておこう。

 発端は、15年に発覚した粉飾決算だ。延命のため、東芝は虎の子の医療機器事業をキヤノンに、白物家電を中国の美的集団に売却した。ところが、17年に米原子力子会社ウェスチングハウスの巨額損失が露呈し破綻。東芝本体も東証1部から2部に降格になった。

 2年連続の債務超過で東芝の上場が危うくなった17年12月、綱川智社長(当時)は常道の法的整理による再建を避け、資本市場から6000億円の増資を強行。通常なら、最初に債務超過に陥った時点で銀行取引が停止され破綻するところだが、東芝は政府・経済産業省の後押しがあり命脈をつないだ。

 とはいえ、綱川社長が断行した増資は無謀だった。過酷な株主還元を迫るアクティビストを株主として多く招き入れる結果になったからだ。大量保有報告書によると、旧村上ファンド出身者が設立したエフィッシモ・キャピタル・マネージメント、シンガポールの3Dインベストメント・パートナーズ、米ファラロン・キャピ…

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