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バージニア州知事選で実証 共和が示した「勝利の方程式」=吉村亮太
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ホワイトハウスから西へ5分も車で走ると、ポトマック川を渡りバージニア州に入る。同州の知事選は、大統領選の翌年に設定されているため、大統領の1年目の評価が反映されるといわれているが、さらにその次の年に予定されている中間選挙の前哨戦と位置づけられ、先行指標として注目される。地方選でありながら国政選挙並みの扱いを受けるのは、「谷間」の年に実施される数少ないレースであることと、首都ワシントンDCに隣接するという同州の地理的要因が大きい。
同州の知事選は11月2日に実施されたが、大手投資会社の共同CEO(最高経営責任者)だった共和党候補グレン・ヤンキン氏が、元知事で民主党候補のテリー・マコーリフ氏に競り勝った。ほんの1年前の大統領選では民主党のバイデン氏が共和党のトランプ氏に余裕で勝利した州だっただけに、民主党内に衝撃が走った。
選挙公約が十分に実現できていないこと、インフレ、アフガニスタン撤収時の失態などに失望した無党派層のバイデン離れが進行中で、現職大統領の不人気がマコーリフ氏にとって向かい風になったことは間違いない。そして、争点だった経済、教育、人種問題で効果的なメッセージが出せなかったのも敗因とされる。バージニア州北部もカバーする当地のローカルテレビ局では、朝から晩まで両陣営のスポットCMが流れていたが、ヤンキン氏を「トランピズムを推進する候補」として警鐘を鳴らすことに終始したマコーリフ氏のキャンペーン戦略は、芸がなかったといわれても仕方がない。
一方で、ヤンキン氏は共和党支持者を引きつけるためにトランプ氏が進めた政策に理解を示しつつも、無党派層が拒否反応を起こさぬようにトランプ氏との距離を保った。
トランプ氏を否定するわけでもなく、だからといって積極的に肯定するわけでもない絶妙なバランスが、中道寄りの共和党候補にとって「勝利の方程式」たり得ることが今回の選挙戦で実証された…
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