納税者「不利」になりやすい不動産所得の税務調査に注意=中山慎吾
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サラリーマンも要注意 捕捉される不動産所得情報 家賃のごまかしは「ご法度」=編集部/監修=中山慎吾
サラリーマンの資産運用として根強い人気を誇るのが不動産だ。コロナ禍でも東京都心の新築マンションなどは不動産価格が上昇し、有望な投資先となっている。また、不動産を所有することで減価償却費や修繕費などが経費として計上できるようになるため、家賃収入から経費を引いた額がマイナスになれば、確定申告で給与所得から源泉徴収された所得税の還付を受けることができる。
節税効果も期待できる不動産投資だが、もちろん節税を目的とした虚偽の申告などは許されない。特に不動産所得の税務調査における家賃の計上は絶対にごまかしてはいけない「ご法度」である。
「悪質者」認識も
不動産の管理会社や法人は、家賃の支払い状況を支払調書としてマイナンバーをつけた上で所轄の税務署に報告している。そのため、支払調書と納税者が提出した申告書に数字のズレがあれば税務署は当然不審に思う。そして、家賃を実際とは異なる金額で計上していれば、納税者がその正当性を主張するのは難しいため、重加算税の要件である「仮装・隠蔽(いんぺい)」の指摘を受ける可能性が高まる。重加算税がつくと本来の税額に35〜45%(悪質かつ無申告の場合は40〜50%)が課される。
重加算税を取られてしまうとペナルティーとして追加で納めなければいけない税金が増えるだけでなく、税務署の中で第三分類といういわゆる「悪質者」に認識されてしまうことになり、3〜5年おきに税務調査が入ることもある。
情報は筒抜け
不動産の売買も決してごまかしてはいけない。不動産売買により支払いを受けた法人や事業者、あっせんした不動産仲介会社にも支払調書の提出が義務づけられており、税務署に情報は筒抜けと…
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週刊エコノミスト
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